あのね、先生。
立ち塞がる壁は


多分もうすぐ高校は夏休みに入って、先生は今ほど忙しくなくなる。

先生に会ったのは、あたしが電話をかけた日だけ。それからはタイミングが合わなくて一度も会ってない。

今日も先生からの連絡があって、おいで、って言ってくれたけど優真との約束があって行けない。


「茉央」

そう思ってたのに。

「ん、行こっか」

「あー、悪い。俺今日帰って来いって言われてんの忘れててさ」

優真は最近約束してなくても、晩御飯作ってとか、DVD見よとか、半ば強引に優真の家にあたしを招き入れる。

前は一週間に何度かって感じだったのに、今はもうほとんど毎日一緒。


「そっか、じゃあまた今度にしよっか」

「ごめんな」

「ううん、いいよ。たまには実家に帰らなきゃね」
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