あのね、先生。

｢…そう、ですよね…｣

何で吉野先生が傷ついた顔すんだろ。

どっちかって言ったら傷付くのは咲良の方じゃん。どう考えても。

あいつ篠原先生のことになるとすげー自信ないし、多分今バレたらヤバい関係なんだろ。


｢好きな人がいるって言われたんです｣

｢…へぇー｣

｢分かりますよね、見てたら｣

俯いて言った吉野先生は、笑ってたけど泣きそうだった。

ふーん。これはモテるわ。

美人だし、元々めちゃくちゃ性格が悪いってわけじゃなさそうだし。


｢分かるって？｣

ほんと、篠原先生って天然の人たらしっていうか…無意識にこうやって人に好かれるから厄介だな。

良いことだけど、こんなドロドロした感じになるのも仕方ない。

｢篠原先生、きっと咲良さんのことが好きなんですよね｣