あのね、先生。

…ほんとは少し期待してた。

あの花であることの意味に気づいてくれないかなって。

…そんな可能性の低いこと、茉央ちゃんが気づかなくて当然だよ。


「スターチス、だっけ…」

茉央ちゃんへの花束を買いに行った時、たまたまその花屋にスターチスが置いてあった。

小さな花だったし、何より卒業生に渡すには地味すぎた。だから選ぶつもりなんてなかったのに。

【スターチス】

そう書かれたプレートの端の方に、小さな字で書いてあったんだ。

″花言葉…変わらぬ心 永遠に変わらない″

それを見て、相応しくないと分かっていながら選んでしまった。


気持ちは変わってない。

むしろ、大きくなる一方で、忘れ方を教えてほしかった。
< 37 / 328 >

この作品をシェア

pagetop