だから、好きだって言ってんだよ
冗談に決まってんだろ


予鈴が鳴って、陽平の周りを取り囲んでいた男子達が席に戻って行った。


そこでようやくひとりになった陽平は、まっすぐに前を向いたまま振り返るそぶりはない。



話しかけるなら、今しかない。



休み時間や昼休みは、男子達とふざけ合ったり、他のクラスから女子が群がって来てゆっくり話せないから。



「よ、陽平……!」



名前を呼びながら、肩を軽く叩いた。



さっきまではしゃいでいたとは思えないほど静かに振り返った陽平は、あたしの目をまっすぐ真剣に見つめてくる。


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