真っ直ぐな気持ち
 彼女は彼に背を向けると、背中に垂れた髪を束ねて前に垂らした。
 他の肌と明らかに違う白さのうなじが姿を現す。
 彼は、彼女に気づかれないようにごくりと喉を鳴らした。
 手のひらに乗せたクリームを、肩から背中にのばしていく。
「背中、焼けてない?」
「えっ? ああ、少しね」
「シャワー浴びたらヒリヒリしそう」
 彼の手が段々下に下りてくる。
「もうそのくらいでいいよ」
「うん」
「ありがとう」
「いいって」
「泳ぎに行かないの?」
「美夏は?」
「しばらくここで寝てる」
「そんじゃ、俺も」
 二人は、並んでシートに寝転んだ。
「美夏」
「何?」
「俺さ、お前の事好きなんだよね」
「えっ?」
「他の奴らは俺の事良く思ってないし、美夏もそう聞かされてると思う。確かに今迄はそうだった。女の子に対して悪い事をしたと思ってる。だけど、お前の事は決して悲しませたりしない。だから、俺と付き合ってくれないか?」
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