私に恋をしてください!
『ふぅん。それってやっぱりお前が言うように夫婦のことは当事者にしか分からないだろうけど、娘としては仲良くいて欲しいと思うだろうから、何か手を差し伸べたいよね。けど、そのマスターに任せればいいんじゃない?』
『あの、1つ伺ってもいいですか?』

葉月が遠慮がちに兄貴に聞く。

『俺が答えられることなら、何でも』
『夫婦って、そんなに関係を維持するのが大変なのでしょうか。紙きれ一枚の契約書とか言いますけど、経緯はどうあれ、結婚する意志を持って結婚したわけですから・・・その・・・』

葉月はうまく言葉がまとまらないようだ。

『アハハ。葉月ちゃんの言いたいことは分かるよ。俺は今のソラの年齢の時に結婚して、今年で14年になるけど、子供達のために一生懸命働いて・・・とか優等生的な発言はあえてしないよ。あくまで芙美は感謝、尊敬、愛情、全てにおいて捧げたいと思える人間だから、おのずと円満な関係がくっついてくるんじゃない?』

うちの両親から生まれた子供だ。
兄は完全にうちの両親の仲の良さの血を引いていると思う。
それは当然、兄貴を自覚しているようだ。

『お前もうちの親見ていれば分かるだろ?葉月ちゃんも"覚悟"しなきゃ』
「何だよ、その"覚悟"って」
< 152 / 216 >

この作品をシェア

pagetop