私に恋をしてください!
『だから、生活は、きちんとメリハリをつければいい。俺だって、マンガだけの生活は寂しいと絶対に思うはずだから』

"だから"とソラは続ける。

『うちに帰ろう』
「どうしたの、突然」

いつもなら、デザートを追加しようなんて言い出すかと思ったのに。

私の手を引いてバイクに乗せて、すぐに発進させたソラ。

ある時、信号でバイクが停車した。

『葉月!』
「何?」

周りにいる車の音がうるさくて、大きな声を出さないと互いの声が聞こえない。

『帰ったら、マンガを描きたい?それとも俺と愛し合いたい?』
「ソラがいい!」
『りょうかい!』

こうして私達はメリハリをつければいいんだ。
マンガを描く時は没頭する。
そして互いを愛したい時はそれはそれで集中する。

ソラのアパートに帰ってきてから"中4日開いた分ね"とめいいっぱい愛された後、私の頭はマンガを描くモードにうまく切り替えられた。

コミケに刺激されていることは確かで、ソラからもらったペンのお陰もあり描くスピードがいつもより早かった。

『この分なら夏のコミケはブースを出せるんじゃない?』
「うん」
『俺も楽しくなってきたよ、この作業』

トーンを選んで貼る単純な作業だけど、ソラも楽しんでくれている。

私の夢に協力してくれているソラ。
つくづく、私は幸せ者だと心底思った。
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