玲汰、知ってる?
■「ダメだからな。私がいないと」



どうしてこうなったのか俺にも分からない。

ただ唯一の友達である杉野(すぎの)と喧嘩して、
その拍子に杉野のスマホを壊してしまい気まずくなって次の日学校を休んだことからすべては始まった。


一度学校を休んだら余計に気まずさが増して、
また次の日もズル休みをした。

そしてそれが3日続いてしまったらもう完全に登校するタイミングを見失ってしまったのである。


「おい」

カーテンも開けずに暗い部屋でパソコンをいじっていると、ドアが勢いよく開いた。

一応カギはかかっていたはずだけどコツさえ掴めばすぐに開いてしまう部屋のドア。そんなポンコツのドアになったのも〝こいつ〟が乱暴に扱ったのが原因だ。


「濃厚ミルクホイップクリーム買ってきてやったぞ」

ズカズカと許可してないのに部屋に入り込んで、偉そうに俺のお気に入りのクッションの上に座る。

そして俺の大好物であるパンを大きな口でかぶりついて、ペロリと指についたクリームを舐めた。


「なに?嫌がらせ?」

他にもコンビニの袋には俺の好きなジュースやお菓子が入っていた。


だけどそれを俺に分けようという気はなくて、
むしろわざと目の前で食べて悔しがる俺の反応を楽しんでるようにも見えた。


「うん。嫌がらせ。食べたいなら自分で外に出て買ってきな」

「………」

そう、こいつは俺のことを見下して揚げ足を取って、おまけに性格もネジ曲がってるヤツなんだ。昔から。
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