玲汰、知ってる?
■「覚えてるよ」



そして週末。昼過ぎまで寝てようと思ったのに母ちゃんに叩き起こされて、俺は長蛇の列の先頭に並ばされている。


「ねえ、莉緒ちゃん見て。パスタもグラタンも食べ放題に含まれてるんだって!朝ごはん抜いてきて正解ね!」

「でも絶対ケーキを食べたほうが得だと思う。
3つ食べれば料金の元は取れるらしいし」

「あら、そうなの?3つなら余裕ねー!」

そんな楽しそうなふたりの会話を聞きながら、
俺は店が開くのを待っていた。


今日は約束のケーキバイキングに来ている。俺が中間テトで平均点以上取れたら行くと約束していたアレだ。

頑張ったのは俺なのにふたりが主役のようにワクワクと胸を踊らせている。

絶対に俺を口実にして来たかっただけだろって感じだけど、それで甘いものが食べれるなら文句は言わないことにした。

時間になって店内に入ると甘い香りが鼻を通り抜けて、たくさんのケーキや食べ物が並んでいた。


「美味しいー!」

早速白いお皿に食べたいものを乗せると、母ちゃんは少女のように幸せそうな顔をしている。

俺もひと口食べると確かにめちゃくちゃ旨くて、さすが行列になるだけのことはある。
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