狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅤ―ⅲ 雷の国の返事Ⅰ



「お久しぶりでございます。悠久の王・キュリオ様」


恭しく一礼する[雷の国]の使者たちは、とても礼儀正しく足並みもそろっている。大柄なのは彼ら一族の特性のようで、道をあけたブラストよりも遥かに大きかった。


(雷の国の使者…?いくらなんでも速すぎる…)


彼らがキュリオから依頼された調査の時間を除いて考えても、移動時間があまりにも短く…ブラスト以外の四人、とくにカイとアレスは度肝を抜かれてしまった。それだけエデン王に仕える家臣たちは精鋭揃いということだ。そして、そんな彼らを余所(よそ)に[雷の国]の使者たちは話を続ける。


「エデン王は多忙につき、代理の大臣からの返答をお持ちいたしました」


「急がせてすまなかったね。ありがとう」


封書を受け取ったキュリオはすぐにそれを開けず、じっと見つめているだけだった。その様子を見ていた[雷の国]の使者のひとりが言葉を発する。


「内容に不備等ございましたら、何なりと御申しつけください」


すぐに彼らが立ち去らないところを見ると、キュリオに失礼のないよう大臣に言われて来ている事がわかる。失礼なところがあれば即座に持ち帰り、新たに書状を作成してくる構えだろう。


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