狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩ 冥王と精霊王の力

「<夢幻の王>の彼ならわかるが…なぜマダラの名を…」



キュリオが驚くのも無理はない。冥王は"魂を狩る者"として名を馳せているからだった。



「…冥王は魂の導き手でもありますゆえ、最悪の場合…姫様の魂が逝くところまで逝ってしまっていたら…」



「…冥界の魂を取り戻すまで…か…」



アオイを抱いたままうなだれるキュリオ。
冥王の手を借りるとなれば…それは…








―――アオイを死者として扱う事―――








「…だめだ…アオイはまだ死んでいない…」



「…しかしキュリオ様っ!!精霊王は気まぐれなお方っ!!あのお方が姿を見せてくださる可能性は…っ!!」



「…っ…アオイ…」



きつくこぶしを握り締めるキュリオの手には血がにじんでいる。彼は認めたくないのだ。それが例え仮説だとしても…。愛しい娘が死んでいるなどという事は絶対に嫌なのだ―――。

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