狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅩⅡ―ⅷ 狂い始めた歯車Ⅷ


そんな事を考えながら脇机にボトルを戻すと、キュリオは水の入ったグラスに口をつける。そして彼女を抱き起し、背中を優しく擦りながら窓辺に向かった。



「こうしているとアオイはすぐ眠くなるんだ」



いつものやりとりを思い出しながら…幸せを噛みしめるように彼女の顔に顔を寄せる。しばらくそうしていたが…アオイは瞬きしている。彼女の長い睫毛が幾度となく頬に触れ…不思議に思ったキュリオはアオイの顔を覗きこんだ。



「おや?眠くないのかな?」



そこまで言ってやっと気が付いた。



「そうだ…アオイは大樹の露を飲んだのだったね」



普段は精霊しか口にしない大樹の露。そのお蔭で彼女らは他に何も食さずとも生きていられるのだという。精霊の国にのみ存在する聖なる物のひとつだが、精霊王の差し出すものならば何も心配する事はないはずだ。



「もしかしたら…しばらく元気いっぱいで眠れないかもしれないな」



昨夜のような事はもう二度と経験したくない。しかし…また起らない可能性など誰にもわかりはしないのだ。だが、大樹の露の効果がしばらく体に残れば…幾分安心出来る気がする。


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