狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅩⅧ―ⅲ ウィスタリアの恋Ⅲ



「え?違うよ…っ!そうやって自分の気持ちを素直に表現できる貴方が羨ましいって言ったの」



ウィスタリアは可愛い妹の乱れたリボンを直しながら、優しい瞳でそう囁いた。



「あのねぇ…私からしたらウィスタリアは遠慮しすぎっ!!押せばなんとかなる時って結構いっぱいあんのよ!?」



「…押せばなんとかなる時…?」



「そうよ!今だってそうじゃない!だめだとわかってて飛び込んだ私を少しは見習いなさいっ!!じゃないといつまで経ってもキュリオ様との距離なんて埋まらないんだからっっ!!」



とても十歳とは思えない大人な発言をしてみせたマゼンタ。そんな妹の成長を嬉しく思いながらウィスタリアは目を細めて彼女の頭を撫でる。



「そうだね…いつまでも見つめてるだけの恋なんて…報われるわけないよね…」




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