狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅴ―ⅱ 柔らかな気配
ゆっくり瞼をひらいた先に飛び込んできたのは
いつも見慣れた天蓋のベッドの天井と…こちらを覗き込んでいる小さな人影だった。
「おはよう、もう起きたのかい?」
(逆光でもわかる…この柔らかな気配は…)
キュリオの声を聞いた小さな影は嬉しそうに口角をあげると更に顔を近づけてきた。
「…っンぅー!」
言葉にならない声をあげ、キュリオの顔に顔をよせてくる。
寝起きのキュリオは幸せな夢の続きを見ているような感覚におそわれながらも、肌に感じる確かなぬくもりにほっと安堵の溜息をついた。そして、彼女の愛くるしい顔を見ようとその顔に手を添えると…
(…涙のあと?)
「泣いていたのかい?」