狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのⅩⅠ


結局、にんじんに包丁を入れる時までアランはアオイの傍を離れず…別の班を見回りに離れたかと思うといつの間にか戻ってきていたりを繰り返していた。


「ねぇアラン先生、アオイが心配なのはわかるけどさ…そろそろ他のところも気にしてあげないと…」


ミキはあたりに視線を向けながら内心冷や汗をかいている。


「…手がかかる子が可愛いとは言ったものだね。私はアオイさんから片時も目が離せないようだ」


ふふっと笑ったアランが"またあとで"とアオイに囁くと、小さく頷いた彼女。


「はぁ…このままじゃアオイ、女子の恨みを買っちゃうってのに…」


どう考えてもアランに特別視されているアオイは彼女らの標的になってしまっているのではないかと心配でしょうがないミキ。


「お前、アオイを守れるくらい強い女になるんだろ?まぁ、俺がいるから心配ないけどな…」


シュウもその事を始めから気にしている様子だ。普通の人間より感覚の鋭い彼は、すでに彼女に敵意を抱いている女子生徒数人に目をつけている。


「うん。あたしらがアオイを守ってやらなきゃね。この子を妬むのはお門違いもいいところだよホント!」


「じゃあ気を取り直していきますかっ!アオイ、切り終わったにんじん持ってきてくれる?そろそろ鍋に入れるよーっ!」


明るいミキの言葉に顔をあげたアオイは頷いてにんじんの入ったボールを持って駆け寄ってきた。


「うんっ」


満面の笑みでミキへとボールを差し出したアオイ。

何をするのかと目を輝かせて鍋を覗き込む彼女を見て、ミキは優しく笑っている。


「ほんと小さい子供だねぇアンタ。あたしはアオイの母親になった気分だよ」


オイルを取り出し、鍋に入れようとするミキからアオイを遠ざけるシュウ。


「あ、あの…シュウ?私もう少し近くで見ていたいんだけど…」


「炒めてる間は跳ねるからな。アオイは離れておけって、火傷するぞ?」


「でも…じゃあミキは?」


「あたしはいいーの!アオイよか頑丈に出来てんだから!!」



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