狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのⅩⅣ


すると、その視線に気づいたアオイが振り返り…


「ねぇ、シュウは何が好き?」


「…え…俺?」


ぼんやりとアオイの横顔に見とれていたシュウは一瞬狼狽えてしまう。


「うんっ!私、お料理もっと勉強して二人が好きなもの上手に作れたら…今度持ってくるからっ」


「アオイが…作ってくれるのか?」


「将来の嫁の手料理が食えるなんて羨ましいよ!」


ミキにからかわれ、顔を真っ赤に染めたシュウは小声で呟いた。


「お、俺…アオイが作ったものならなんでも…」


「なんだって?全然聞こえないよシュウ!」


さらに煽るミキ。


「くっそ!!後で覚えてろよミキ!!俺は…ローストビーフが好きだ!」


「ローストビーフって…アンタ…料理初心者のアオイが出来ると思ってんの…?」


飽きれたようにミキがため息をついた。


「シュウ君、君はただ…血が滴る生肉ならば何でも良いのではないか?」


ゾクリとするような声色に物騒な事を言ってのけたのは背後より姿を見せたアランだった。


「またてめぇかよ…っ…!」


ギリリと歯を噛みしめるシュウは悔しそうに後ろを振り返った。


「生肉…?それは調理するのではなく、切り分ければ良いのですか?アラン先生」


アオイは恐らく異文化にある、生魚を食する際の刺身のようなものを想像しているのかもしれない。


「いや…血肉を好む一族もいるという話さ。そのように物騒な者たちがこの悠久にも棲み着いているのだから…」


「アオイさんはくれぐれもお父様の傍を離れてはいけないよ」



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