狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅵ 危険な存在


―――自分を落ち着けるように深呼吸しながら彼は扉をノックした。


「キュリオ様、おはようございます!」


やや大きめの声を掛けるが…


「……」


内側からの返事はない。
キュリオの起床時間を考えればすでに二刻以上遅いはずだ。


「まさか…キュリオ様…」


ふと不吉なことを想像してしまった彼は居ても立ってもいられず、ノブへと手をかけ力いっぱい扉を開いた。


「失礼いたしますぞっ!」


飛び込むように駆けこんだ先に見えたものは…
真っ白な上質の衣に身を包み、ベッドに横たわる王の姿だった――――



< 56 / 871 >

この作品をシェア

pagetop