狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

その23

―――冷たい風が吹き荒れる荒廃した地を白銀の鎧に身を包んだ<雷帝>エデンが金属音を響かせながら歩いている。


"エデン様、あの街の橋がとうとう完成したそうです!一緒に見に行きませんか?"


前を歩いていた少女が嬉しそうに振り返りながらエデンの顔を覗きこんだ。


"ん?せっかく時間が出来たってのにそんな場所でいいのか?"


苦笑しながらも、少女を抱き寄せる<雷帝>の手はどこまでもあたたかい。


"橋には思い出があって…それに、そこから人々の交流がうまれると思うと、とてもワクワクするんです"


優しく細められた清らかな瞳。


"そうか…"


エデンと出会う前の彼女がどうだったか…ある程度の予測はつくが、彼女が語らぬのなら無理に聞き出す事はしたくない。


"…お前らしいな…"


"エデン様?"


真ん丸な目をわずかに見開く彼女の額にそっとキスを落とすエデン。


"…いつかお前のもとにも橋を架けてみせる。そしてそこからが俺とお前の…本当の物語のはじまりだ"


激しい稲妻のような情熱を秘めたエデンの瞳。
しかし…


少女の眼差しは深い優しさを残したまま物悲しく細められた。


"……"


彼女の無言の笑みが何を語るのか…。<雷帝>エデンは嫌というほどに理解していた―――。

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