狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

Ⅶ―ⅴ 使者を募って

「使いを出すつもりなんだが、打ってつけの者はいないかい？」


使者を出し他国へと行かせる事があまりないため、大事な経験をさせてやろうと踏んでいるのだ。そのことはガーラントも重々承知で、何よりも使者に渡される加護の灯が絶対にその身を守ってくれるからである。


(悠久の使いとしてキュリオ様のしたためた書簡を各国へ届ける…大事な役目…)


アレスは手元をじっと見つめ、その貴重な体験に胸を躍らせていた。


「も、申し上げますっ！キュリオ様！ガーラント先生！！」


突如大きな声をあげたアレスにキュリオとガーラントは驚いたように彼を見つめた。


「どうしたんだい？アレス」


落ち着いた調子で話を促すキュリオ。


「はいっ！その使者に私が立候補してもよろしいでしょうか！！」


今度はガーラントが口を開いた。


「むぅ…お前がか？」