狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

だだ漏れキュリオ

「…先生、お疲れ様です」


女子生徒たちの目を掻い潜って、建物の中を歩き回っていたのではないかと心配していたアオイだが…


「…その浴衣よく似合っている。土産は浴衣にしよう」


「…！？…っずるいアオイさんばっかり!!アラン先生わたしたちにはっ！？」


どうやらアランの真後ろで背を合わせていた別の女子生徒が話を盗み聞きしていたらしい。

あっという間に標的となってしまったアランとアオイだが、彼は気にすることなくアオイに話しかけてくる。


「…必要なものは帯と櫛かな？扇子というものを見つけたのだが…あぁ、下駄も見に行こうか」


『ちょっ…ちょっと待って下さい!!アラン先生っ…』


(お父様疲れていらっしゃるんだわ…っ！アラン先生を演じられなくなってる!!)


「わ、私を彼女さんに見立ててもっ…お役にたてませんからっっ!!」


あたふたと言い訳を振りまくアオイにｶﾞｯｶﾘした周囲からのため息が漏れる。


「なぁんだー…」


「でもアラン先生に選んで貰えるだけでもいいや！明日自由行動の時に頼んでみようよ！」


「それすごくイイ！一緒に歩けるだけでもいいわっ！！」


「……」


(ごめんなさいアラン先生…)


逆に女子生徒たちを盛り上がらせてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいなアオイ。


「…私が愛しいのはたった一人だけ…」


「…え…？」


耳を疑って顔を上げたアオイにアランが薄く微笑んだ。



「…悠久の王がそれを阻むのなら…私は奴を倒して君を手に入れる」



身を乗り出したアランがアオイの髪にそっと唇を寄せると…