狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

嵐の前の静けさⅠ

ミルクを温めたカップを両手で囲んでいる蒼牙。

いち早く夢から覚めた彼は誰とはなすでもなく椅子に座っていた。


「……」


白い湖面にうつる自分の顔をじっと無言のまま見つめている。


(こんな事初めてだ…)


長く生きてきた彼らの空間に飛び込んでくる者など今までほとんどいなく、しかもそれによって心乱されるなどあっただろうか?


美しい容姿の彼らへ言い寄る女は星の数ほどいる。

しかし…

あの心優しい仙水を始め、九条や大和…誰ひとり女の前で立ち止まる者はいなかった。


そして以前は仙水だけの問題だったにも関わらず、大和までもが動き始めた。



「大和はおっさん呼ぶなって言ってたけど…気になるよな」



幾分冷えてしまったミルクに口をつけ、蒼牙は小さなため息をついた。


すると…



「ん?蒼牙お前ひとりか?」




低く凛とした声が少年の頭上から浴びせられる。



「…っ!?」




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