狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

Ⅸ―ⅹ 悠久の外へ


この世界は五大国から成っており、それぞれの国を繋いでいるのはどこの領土にも属さない異空間だった。まるで星空の中にある回路、もしくは空のもっと向こう。人の世界で言われている宇宙のような空間だ。


悠久と異空間を繋ぐ門は常に開かれていた。そして開かれた国だからこそ他国からの遊学や旅人たち、中には精霊らが自由に出入りしていることもある。それはこの国が豊かで、厳しい規則や掟がないのも訪れる場所として選ばれる理由のひとつだった。


巨大な1つの水晶で出来ている悠久の門はキュリオが命じなければ閉ざされることはない。しかし他の四ヵ国が同じとは限らない。不用意に他国の者が簡単に通れぬ様、常に閉ざされているところもある。


使者の経験がないアレスとカイは恐る恐る悠久の門番らに加護の灯を見せると、頷いた彼らは快く道を空けてくれた。


ほっと一息つくのもつかの間、門をくぐり終えると上下が真逆かのような錯覚を覚える。


「うわっ!!」


はじめに声をあげたのはカイだった。
剣で鍛えたバランス感覚、そして運動能力も意味をなさないように体はグラグラと揺れた。


「大丈夫かい?」


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