蒼い灯火







俺がそう返事をすると、姫野は嬉しそうにはにかんだ。




「嬉しい…ありがとうね。」







そして姫野は、ポツリと聞こえないくらいの声で何かを呟いた。









「……え?今何か言った?」




「ううん、何でもない!あっ、そうだ!付き合うんだし、呼び名変えようよー」





「呼び名?」









それから俺たちは、夕暮れの空の下で「大貴」「えりか」と呼び合うようにした。


俺たちの関係の変化は、呼び名が変わっただけ。

本当に、ただ、それだけだった。







そうして、すごく軽い雰囲気で俺とえりかは付き合うことになった。










だけど、俺は大切なことを知らなかった。
それはえりかに大きな影響をもたらした。













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