薫子様、一大事でございます!

「……DCH、でございますか?」


滝山は何のことかと首を傾げた。


「デブでチビでハゲのこと」

「はい……?」

「だからね、デブのD、チビのC、ハゲのHなの。滝山は私をそんな人のお嫁さんにしたいの?」

「いえ、決してそういうつもりでは……。ただ、」

「ただ、なぁに?」

「そうしていれば、薫子様は今まで通り何不自由なく暮らせていけたのではないかと思うと、不憫でならないのです。それに、だんな様と奥様だって……」


滝山は声を詰まらせた。


そんなことを言ったって、こうなってしまった以上、もうどうしようもない。


それに、いくら二階堂家の存続がかかっていたとしても、政略結婚だなんて、それが好きでもない相手とだなんて、首を縦に振れるはずがない。

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