薫子様、一大事でございます!
靴の大きさから言って、男の人のようだ。
ドキドキと加速していく鼓動は、今までに体験したこともないほど。
死体なんて、おじい様とおばあ様の綺麗なものしか見たことがなかった。
「……どうやら息はあるようです」
滝山の言葉にホッと息を吐く。
でも、こんなところにどうして倒れているのかしら。
酔っ払い?
それとも……
「怪我をしていますね」
「えっ、怪我?」
それじゃ、誰かに襲われたの?
恐る恐るその顔を覗き込む。