薫子様、一大事でございます!
「なーんてね」
「はい?」
「じょうだん、冗談」
クククと肩を震わせて笑う。
じょう……だん……?
体中に入っていた力が一気に抜ける。
「こんな好青年が裏世界にいると思う?」
「そう、ですよね」
大きく頷くと「おいおい、そこは否定するところだから」と苦笑い。
「悪ふざけはおやめください。夕べ、あなた様を見つけたときもそうでしたが、薫子様も私も、生きた心地がいたしませんでした」
本当だわ。