薫子様、一大事でございます!

包み紙を取りながら言うと、一口でそれを平らげた。


「前にも申し上げましたが、私は薫子様が嫁がれてもお仕えいたしますので」

「……ありがとう」


……でも。


「滝山はそれでいいの? お父様とお母様の元がいいんじゃない?」

「お二人は大丈夫です。私がいなくても楽しくやっていけますから。それをしかとこの目で見届けて参りました。それに、薫子様のことを託されましたし」

「よかったね、薫子ちゃん」


滝山が私の手をギュッと握る。


大きな温かい手がやけに私をホッとさせた。


< 517 / 531 >

この作品をシェア

pagetop