弟、時々恋、のち狼

ゆれるたび、チリチリと可愛らしい音が鳴った。
見た目とは違い、柔らかで、暖かな音色。
なんだか、ラッラの話し声を思い出す。


チリン
チリ……チリリン


ベッドに腰掛け透明な鈴の音を聴いているうち、自然と心が落ち着いてくるのがわかった。

心が、広く凪いでいく。
頭が、冴え渡る。

今なら、幼稚園の頃の、大好きなおじいちゃんが死んでしまった時の悲しみだって、思い出せそうだ。


チリン
チリ……


いつの間にか、アタシはゆったりとベッドの上に横たわっていた。

心が、広く凪いでいく。
頭が、冴え渡る。


そしてアタシはーー。

眠りのない夢の中へと落ちて行った。


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