ただ、愛したい
「…っ!ごめんっ。咲っ!」
私が座り込んだのと同時に裕弥は、さっきとは全く違う声質でそう言った。
これもそうだ。
殴った後はすぐさま私を抱きしめる。
何をどう思い、そうしているのかは全くわからないけど、私の心が徐々に安らいでいくのは確かだった。
「ごめん。…ごめん咲…。」
そう言って、裕弥はゆっくりと、優しく私の背中に手を回す。
さっきまでは冷たかった私の体も、
裕弥によってだんだん温まっていくのが分かる。
『うん…いいよ…。』
そして、私も無意識のうちにそう言っていた。