こんぺいとう
1944年。日本の戦況は日々悪化していった。手が滑り、持っていた茶碗を落として割った。…胸騒ぎがする…

誰かが扉を叩いている。不安ながらもどうにか扉を開けると、一通の手紙を渡された。

…見た瞬間、文子の全身の力が抜ける…
その場にしゃがみこみ動く事ができない。
何が起きたのか分からない。
どうしてこんな事になってしまったのか…

文子はフラフラと歩き出すと河原へ向かった。
桜の木に倒れかかる。今まで堪えていたものが一気に溢れだしてきた。
狂ったように泣き叫んだ。
この声を聞いて、今すぐあなたに飛んできて欲しかった。
笑顔で抱きしめて欲しかった。
あなたに会いたい…会いたい…会いたいよ…

小川雄治、戦死………
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