我妻はかごの中の鳥


「…キャラメル、頑張ったのにぃ…」


心底気にくわない、という顔である。

ああ…なるほどね。


訳せば。

【キャラメルを得るために、抱きついたりキス間際なことまでしたっていうのに、

結局はキスや夜明けまで続いた…で、うやむやにされた。

どうしてくれる、老舗和菓子店なのに】


らしい。


結局は 俺<キャラメルか…


ため息をつきたくなる中、箱を持ってきてやる。

細工の施されたキャラメルを瑠璃の口の中に放り込めば、無表情をほんのすこし驚きに染めた

そのあと、嬉しそうに頬のみをなんとなく赤くする。


基本無表情なせいか、ちょっとの変化がわかってしまう。

それは時を共にすればこそ。


旦那ならではの特権に、つい頬の筋肉が上がった。


< 90 / 140 >

この作品をシェア

pagetop