四神の秘宝
「変なの....」
「これは四神だ。」
「ぉ....わぁ..!!!」
急に私の隣に現れた璃玖。
「ちょ..ビックリさせないでよ!」
「そのつもりは無かったが、すまない。」
そ、そんなストレートに謝られても...
「い、良いけどさ...てか、四神って?」
「それも後で説明しよう。とりあえず、着替えろ。浴衣はこれでいいか?」
渡されたのは淡いオレンジ色をした素朴で、だけど何処かに品がある、綺麗な浴衣にだった。
「わぁ、可愛い!この匂いは...金木犀??」
ふわっと香る甘い匂いに覚えがあった。
「よく分かったな。この家には金木犀がたくさんあるんだ。だから嫌でも匂いが移ってしまうらしい。」
「ふぅーん。私、金木犀が一番好きなんだよね!」
小さい頃、好きだった男の子に、金木犀の花をもらったことがあった。
その男の子の顔、名前、場所とかは霧がかかったようにモヤがかかっていて、うまく思い出せないけど。
きっと、あれが初恋だった。