甘い時 〜囚われた心〜
未来の約束
『明日、雛子ちゃんに会いにいくわ!』

美那がキラキラと目を輝かせ言った。

ホテルを出た桜華は、そのまま車を飛ばし、ある店にきた。

有名な宝石店。

高級感溢れるその店に入ると、支配人が慌ててやってくる。

「桐生院様!お待ちしておりました!」

家を出る前に連絡があった。

『ご注文の品が届いております』

店の奥の個室に通されると、黒い革のソファーに座った。

銀縁の眼鏡をかけ、髪をカッチリとセットした女性スタッフが、白い手袋をして、紺色のトレイを持ってきた。

トレイの上にはクリーム色の小さな箱がある。

女性はそれを手に取り、蓋を開けた。

中には銀色の指輪にハート型のダイヤが輝いていた。

桜華が雛子にあげるためにオーダーメイドで作った婚約指輪だ。

「こちらでよろしいですか?」

「あぁ…ありがとう…」

その言葉を聞くと、箱は静かに蓋が閉められた。
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