甘い時 〜囚われた心〜
嫉妬
桜華が百合矢達と別れた頃、雛子は鈴音といた。

桜華が出掛けたので、鈴音と病院に検診に来たのだ。

雛子の体調も回復してきているし、赤ちゃんは順調に育っていた。

屋敷の人には鈴音の家に行ってくるとしか言っていない。

鈴音の車で送ってもらい、家に帰りついた所だった。

鈴音をお茶に誘い、屋敷に招いた。

客間に通して話をしていると、メイドがティーセットを持ってきた。

「あっ!鈴音に貰った毛糸で編んでるの!」

「何を?」

紅茶に口を付けながら聞いた。

少し、声を小さくして答える。

「赤ちゃんの靴下!」

その顔は幸せ一杯の笑顔だった。

「今日、桜華に言うつもり。きっと喜んでくれると思うから!」

「そう」

鈴音も笑顔になる。

「そうだ!あとちょっとで片足が出来上がるの!見せてあげる!」

雛子は嬉しそうに立ち上がり、部屋を出ていった。
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