甘い時 〜囚われた心〜
「いいから…」

女がグラスに酒を入れた。
更にそれを、オレンジジュースで割る。

「もし、潰れたら…」

「持ってかえっていいよ」

女の言葉に、ニヤリとする。

女は、急に現れ、売れている雛子に嫉妬していた。



「お待たせしました。雅です」

ホスト風な男と、先にヘルプで席にいた女。


何も知らずに酒の入ったグラスに口をつけた。




クタッ…

グラスが空になる頃、男にモタレかかるように意識を失った。
雛子の腰に男は手を回した。

細くクビレたウエスト。

「おい。帰るぞ」

男の言葉に不適に笑うと、ボーイに声をかける女。

さぁ、帰ろうとした、その時だった。

「お客様…」

マネージャーがテーブルの端に膝をついた。

「なんだよ!」

「大変申し上げにくいのですが…」

少し、言い出しにくいようなマネージャーの後ろから、別の男が出てきた。

「離れろ…」

「はぁ!?俺、客ですけど!?何、その態度!!!!」

「もう一度言う。離れろ…」

それは、奥の部屋でマネージャーに金を渡していた男だった。

スタッフと思っている男はテーブルに足を乗せキレ始めた。

「誰に、デカイ口たたいてんだよ!俺を誰か知ってて言ってんのか!」

「…うざい」

テーブルに置いた足の膝を狙って、男が足を落とそうとする。

「桜華様!」

後ろにいた別の男がそれを止める。

「……チッ……」

桜華(オウカ)と呼ばれた男は、舌打ちすると、ホスト風な男の足を軽く蹴り上げる。

膝を折られると思ったその男は、雛子から、離れる。


桜華は雛子を抱き上げると、何事もなかったように、去っていった。
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