甘い時 〜囚われた心〜
通された部屋は個室で、部屋に入ると、数ヶ月ぶりに見る父親・百合矢がいた。

「お久し振りです」

「元気そうだな」


そんな会話をしながら百合矢の向かいに座ろうとした。

「こちらに座りなさい」

百合矢の左側を指差していた。

よく見ると、テーブルに揃えられた食器は、四人分。

「どういうことですか?」

明らかに不機嫌になる。

百合矢は何も言わずに、ジッと桜華を見るだけで…

桜華は、ため息をつきながら、百合矢の横につく。

「また仕事ですか?今日は話したいことがあると言っていたはずですが?」

「聞く必要はない」

その言葉に、イラッとすると瞬間、立ち上がった。

「お連れ様がいらっしゃいました」

店の者が軽く頭を下げながら言った。

そして、二人の男女が入ってきた。


一人は、白い着物を着た男性

もう一人は、赤い牡丹の花が咲いた着物をきた少女…


「どういうことですか?」

静かに、しかし、怒りが入った声で百合矢に問う。

「座りなさい」

拒否権がないとでも言うように、こちらも静かに迫力のある声。


しかし…

これでは、まるで…


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