無垢な瞳
「赤ちゃんができたかもしれない‥‥」

島野に告白したとき、彼は明らかに動揺していた。

「無理だよ。僕には妻も子どももいる。君とはいっしょになれない」

島野は首を縦に振らなかった。



私は悔しかった。

どうして自分ばかりがあきらめなければならないのか。

島野の妻は祝福されて子どもを産み、幸せな生活を送っている。

それなのに‥‥なぜ、私ばかり報われないのか。



私は島野の前から姿を消した。

私には考えがあった。

絶対に島野を自分のものにしてみる。

若さから生じる大胆さと稚拙さが全てだった。
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