無垢な瞳
教室にケンの姿はない。

芝山はケンの母親が亡くなったとだけ伝えた。



しかし、小さな町のことだ。

噂は瞬く間に広がり、アキの耳にもすぐに届いた。

「ケンのお母さんが自殺したなんて‥‥」

アキは信じられなかった。

ケンの母親の死は新聞の片隅に載ることもなく、うやむやに人の口伝で語られた。



アキは自分の右手を見つめた。

クラス発表で優勝を決めた瞬間、ケンと喜びを分かち合ったこの右手。




ケン、どうしてる?

会いたいよ



ケンのそばにいてあげたい。

自分に何ができるかわからないけど、自分ならケンを一人にさせたりはしない。

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