無垢な瞳
初七日の朝、父がやってきた。

父はみんなが揃う前に、ケンの寝室になっている冴子の部屋にやってきた。

「どうだ、こっちは?」

「おじいちゃんにもおばあちゃんにもよくしてもらってるよ。もっとこわい人かと思っていたけれど、どうもそうではないみたい」

「そうか、よかったな」

父は母の部屋を見渡していた。

時間の止まってしまった部屋。

死んでしまった母の部屋に父と二人でいるなんて‥‥。

「ケン」

父がおもむろに切り出した。

「おまえ、これからどうする?」

父はベッドに腰掛けてひざのところで手を組んだ。

「おじいちゃんから、ここで暮らさないかって言われた」

僕は父の顔を見ることができなかった。

父の本心に触れるのがこわかったから。
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