無垢な瞳
「えっと、タンポポのやつとケンのピアノコンサートがいいと思いまーす!」

みんながどっと笑った。

ユウキが調子に乗って続ける。

「毎日音楽室で二人で練習してるみたいだし、ちょうどいいんじゃないですか~」

さらに笑い声が起こった。



が、すぐにしんと静まり返った。

僕が自分の机をひっくり返したからだ。



「おまえ、ふざけんなよ!」

僕は立ち上がってユウキの席まで走った。

座っているユウキの胸倉をいきなりつかんで、床に押し倒した。

そして馬乗りになって、ぼこぼこに殴ってやった。

自分でも驚くほどの怒りがユウキに向かって爆発する。

何発殴ったかよくわからない。

僕に押さえつけられたユウキは鼻血を出してぐったりとしていた。



「キャー!」

女子の声で、担任が教室に飛び込んできた。
< 44 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop