無垢な瞳
「おばさん、いいですよ!」

「ちょっと、大人をからかわないの」

「本気で言ってるんです。いい声だ」

コウの母は少し顔を赤らめた。

「実はね、本当はかなり気持ちよかったんだ」

コウの母はすこしはにかんだような顔になった。


「おばさんにいろいろ協力してもらわないといけなくなると思うんです」

僕は遠慮がちに切り出した。

ピアノの演奏をマスターした後は、歌声に合わせて弾かなければならないこと。

また、ボディパーカッションにも合わせなければいけない。

最終的にはステージに上がって、聴衆の前で披露しなければならず、あまり時間がないことを、コウの母親に伝えた。

「わかったわ。ケンくん任せて。家でできることは必ずやってみるから!なんか私の方がわくわくしちゃうな」

コウの母親はためらうことなく笑顔を見せた。

ケンの不安を吹き飛ばしてくれそうな、そんなはじけた笑顔だ。
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