アイデンティティー

~~♪~♪

鼻歌が、階段を降りてくる、、


♪~、、、

あぁ、聞いたことがある、なんだっけ?
少し音程が外れてるからピンと来ない、、


♪~♪~~~

あぁ、ちょっと音痴なのにまぁまぁノリノリに歌ってる、この歌はたしか滝廉太郎の、、、


すぐに出てこないのが無駄にガリ勉の証拠だ。

、、、~♪


「!!」

花だ。僕はうっかりタイトルを思い出すのに夢中で階段の踊り場で聞き入ってしまっていた。
そして、降りてきた鼻歌の主に遭遇してしまう。

「、、、あら?」

「、、あぁ~、さよなら…。」
女子生徒と目が会う前に立ち去ろうと急いだしかし…


「あら?あなた、私の歌声に聞き惚れていたのかしら?」

話しかけられてしまった。
しかも、上からだ、、『否。』否定してやれ僕は彼女を見た。


「………………っ!?」
鳥肌が立ったーーー。
顔が熱くなり耳がジンジン痛む。

「………っ。」目を反らしうつ向いてしまった。


彼女は首をかしげだ。「…私はてっきり貴方が何か一言言うものだと思って、空気を読んで少し黙って見たのどけれど、何も言わないのかしら?」

顔立ちはとても美しい、色白で眼は切れ長の二重で、髪は黒々として腰ぐらいあって長い。
何処か平安京の貴族の娘のようだ。

しかし、物言いは上からだ。



「いえ…突然鼻歌が聞こえたので何の曲のタイトルだったか、思い出すまでつい立ち止まってしまったんです。」


「それは、貴方が私の歌に聞き惚れていたのと違うのかしら?」

「違います、逆に言えば少し音程を外していたので尚更思い出そうとしてたんです。」


「あらそう、、」

彼女は少し黙った、嫌味が効いたか?

「私はてっきり、いつも私を取り巻く私の美しさと知性に気品溢れる才色兼備で秀外恵中の類いまれなる魅惑に魅了されて付きまとう 多勢に無勢の一1人かと思ったのだけれど」

「…あ、貴女自己評価はとても解りましたが僕はその酷い言われようの一1人ではありません。それに、言い方が酷すぎます。」

「あらやだ、それは配慮が至らなかったわ大変失礼したわ、では鰯の稚魚に変える事にするわ。」
真顔で答える彼女。


「……。それは、、雑魚って意味ですよね?」


「あら貴方、見かけによらず博識なのね?珍しく私は感心したわ。」

「…そうですか、僕は見かけだけがガリ勉ですから、、」
「あら、全くもって可笑しな事を言うのね?貴方は、、誰が見かけはガリ勉君と言ったのかしら?ガリ勉君に謝りなさい。」


「…?」


「こんな、超!やる気のないガリ勉君なんて見たいこと無いもの、いいかしら?ガリ勉君というのは、勉強が好きでやってる訳じゃないのよ、
勉強に励み結果を出せている自分が好きなのよ、そしてそれに伴い大人からの評価つまり教師や両親、マザコンならママの喜ぶ顔が見たいと一身に回りの他者を邪として文面と黒板のみを愛するストイックな熱い奴らなのよ?」


彼女は、顔に表情は出さないがなかなかの早口だが滑舌がいい
腕を組んで呪文の用に延々と僕に教えを説いている。

「だから、貴方の用にやる気も何もない人間はキャラ設定を担うのもおこがましのよ?だから、ガリ勉君に謝罪をすべきよ。」


「貴女も貴女の言う真のガリ勉君に失礼な言動も多々あった気もするけど、一応申し訳ないと思うようにします、、。」


僕は彼女の呪文に疲れたので、背を向けて階段を降りようとしたーーー。


「あっ待って。」

彼女が僕の手を掴んだーーー。
僕は迂闊にも振り返ってしまった


宝石のように黒黒たとした瞳、、、
なびく髪から甘い香りがする、、、、

「はい?なんですか?」


「貴方…AB型かしら?」


「…えぇ…。?」


「やっぱり、今日予言されたのよ…。」


茜の空。


桃色のいろは。

伸びる黒影。

待ち受ける運命の赤い糸…。


「AB型の君…。(ならば尚良)。」



「締めがめっちゃダサいですね?それにどこでそんな予言を?逆に僕の未来もその人に聞いてみたくなりましたよ。」


「私の母よ。将来は貴方のお母さんにもなるかも知れないけれど。」

「…僕の中で貴女の印象は変な人から怖い人に変わりつつありますよ。」



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