冷血上司の恋愛論
そんな中、内山が、


「じゃあ、藤井さんの席は、今日の主役だから、部長と課長の間ね」


と、座敷の上座に誘導している。


実はこの席は、社内では“魔の間”と呼ばれていることを当人の俺も知っている。


女に対して冷たく、男でも仕事に繋がる話しかしない俺と、宴会大好き酒大好きの部長。


次々に呑まされて潰されるか、聞きたくもない話を聞かされるかの男。キャバ嬢並みの扱いを受けるか、話し掛けてもほぼ無視されるかの女。


この“魔の間”だけは誰も座りたがらないが、部長からの上司命令で必ず毎回誰かが餌食になる。


この席に座らなければ、それはそれで楽しい飲み会だと誰もが口を揃えて言う。


俺は、内心、内山グッジョブ!!と歓迎していた。


見た目で大小コンビから無理難題を押し付けられることの多い内山が、藤井を思って空気を読んだこと。俺には、わかった。


藤井が“魔の間”に座れば、周りから文句も出ない。

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