ぼくたちはあいをしらない
09:はじまりのひ
――学校


「なぁ?一」

 柾は、一が席についたのを確かめるとそう尋ねた。

「柾くんおはよう。
 どうしたの?」

「いや……
 どうやって万桜ちゃんを助けたのかなと思って……」

「秘密」

 一が、そう言って小さく笑う。

「なんだよそれー」

 柾が不満の声を大きくあげる。

「朝から大きな声を出してどうしたの?」

 茂が、そう言って現れる。

「茂ー。
 コイツ万桜ちゃんの救出方法を教えてくれなかったんだぜ?」

「まぁ。
 助かったんだ、そこは気にしなくていいんじゃないのか?」

 達雄が、そう言うと柾が不満の声を出す。

「気になれよ!」

 達雄は、小さく笑うと一の方を見る。
 達雄には、わかっていた。
 一が、能力者であることを……
 そして、それを隠していることも……

「男は、そんなこと気にしちゃダメ……」

 静香が、そう言って笑う。

「しつこい男は嫌われちゃうぞ」

 みゆきが、そう言って笑う。

「う……
 お前ら突然現れてなんだよ?
 そんなに責めなくていいだろう?
 気になることを聞いちゃ悪いか?」

「まぁ、そんなことよりさ。
 転入生が来るらしいよ?」

 みゆきが、そう言うと達雄が首を傾げる。

「転入生?」

「うん」

 みゆきがうなずく。

「とっても可愛らしい女の子」

 静香が、静かにそう言うと柾が食いつく。

「女か?
 茂、そいつお前の彼女しろ!」

「え?なんで?」

 茂は、突然の言葉に驚く。

「この中で、童貞なのはお前だけだからだ!」

 柾の言葉に茂は深く傷つく。

「え?達雄くんと一くんは?
 ってか、柾くんも?」

「気づいてなかったの?
 静香と達雄。
 付き合っているんだよ?」

 みゆきの言葉に静香が照れる。

「え?じゃ、一くんは?」

「一のやつ生意気にも歳上の彼女がいるんだぜ?」

 柾の言葉に一も照れる。

「柾くんは?」

「俺は、サッカー部のマネージャーと……」

 柾も照れ笑いながら答えた。
 茂は、少しショックを受けた。
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