ぼくたちはあいをしらない

 世界が丸くなる日。
 この世は滅びるだろう。

 突如そんな声明文が各マスメディア、テレビ関係に送られてきた。
 送り主は、西野 タネ。
 灰児や轟をまとめていたリーダーだ。

「で、タネの要求はなんなんだ?」

 百寿が、博士に尋ねる。

「轟の解放だ」

「轟には、もう能力はない。
 そんな奴に利用価値はあるのか?」

 今度は鴉が、博士に尋ねる。

「元々身体能力は、優れている。
 それにプレゼントの能力を持った相手を殺させれば、たちまち能力者だ。
 利用価値なんて腐るほどあるだろう。
 タネが求めているのは自分たちに従う忠誠心を持ったモノたちだ」

「……で、上はなんていっているんだ?
 声明文の意味もわからない上に轟を解放とかするのか?
 しないよな?」

 百寿が、そう言うと博士がため息をつく。

「要件を飲むそうだ」

「本気か?」

 鴉が博士を睨む。

「タネは、細胞を自由に扱う能力者だ。
 その気になれば地球に住む生命の全てを殺すことができる」

「細胞を操るのですよね?
 直接触れないとダメとかそう言うモノはないのですか?」

 南が、そう言うと博士が声を低くして言う。

「細胞を持っているのは人間だけじゃない。
 犬だってネコだって鳥だって細胞がある。
 無論虫にもだ。
 バイオハザードって映画があっただろう?
 タネがその気に慣ればあれより悲惨な状況を作り出せる。
 生物兵器も創りだすからな非常に厄介だ」

「そんな奴に勝てるのか?」

 鴉が博士に問う。

「勝てないな。
 だから、要求を飲むんだ」

「……あるとすればタネが油断した瞬間を狙って殺すだけですね」

 南がそう言った。

「それに加え、茂に轟を連れて来いと要求してきた」

「茂だと……?」

「ああ、あとり北 自由という女の子も連れて来いとな」

「自由を?」

 南が、驚く。

「ああ。
 しかして自由は……」

 博士が、南の方を見る。

「はい、全てを話します」

 南は、静かに語った。
 自由の全てを……


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