ぼくたちはあいをしらない
―― 小学校の裏山

 茂と自由が、指示された場所に轟をつれてやってくる。
 するとゆっくりとふたりの若い女性が現れる。
 ひとりは20代前半、もうひとりは高校生くらい。
 西野 タネと西野 レテである。

「レテちゃん?」

 自由が、少し驚いた表情でレテの方を見る。

「自由ちゃんお久しぶり……」

「あら?知り合いなの?」

 タネがレテに尋ねる。

「自由ちゃんは、高校が同じだったの。
 転校したから会えなくなったと思ったけど……
 また会えたわね」

 レテが、嬉しそうに笑う。

「まぁ、どうでもいいわ。
 早く轟と自由を貰おうかしら?」

「どうして北さんを?」

 茂が、レテを睨む。

「決まってるじゃない。
 この子が、プレゼントだからよ!」

 タネが、そう言って自由の背後にまわり自由の両手を一瞬で手錠で拘束した。

「な、なに?」

 すると轟が嬉しそうに笑う。

「すまねぇ、タネさん。
 俺にそいつを殺らせてくれ!
 新しい能力を手に入れそして今度こそアイツらを……!」

 轟がそう言ってタネに近づく。

「何言っているの?
 貴方は、もう用済みよ」

「なにを言って――」

 そこまで言いかける轟の額にタネがキスをする。

「おやすみのキスよ」

「嫌だ!俺は、まだ死にたくない」

 轟の顔が徐々に老けていく。

「俺は、まだやれる……の……に……」

 轟が倒れる。

「殺したのか?」

 勝也に変わった茂が尋ねる。

「勝也いきなり登場なのね……」

 タネが、そう言って笑う。

「何がおかしい?」

「貴方面白いから私のコレクションにしてあげる」

「コレクション?」

「そうレテのように永遠の私のおもちゃ。
 なんでも願いを叶えてあげるわ。
 高校生にでも中学生にも小学生にもサラリーマンにでも飽きることなく人生を楽しましてあげる」

「……断る。
 お前のおもちゃなんて誰がなるものか!」

「この子が、人質よ」

 タネが、そう言って自由の頭に手を当てた。
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