雨とumbrella
私だけ好き

11月の雨

昨日の出来事にドキドキして、また奈々と美織に指摘されちゃった。
「…逢王、恋してんでしょ?いい加減、うちらにも教えてよ。」
マスカラで長くなったまつ毛をバサバサしせながら、奈々に問い詰められた。
うん、好きだよ、龍聖のこと。
まだ出会って間もないけど、心が動いちゃったんだ。
「恋なんかしてないってば…。」
否定するけど、恋愛マスターの奈々と美織には私の考えなんてお見通し。
「バカ。こんなに顔真っ赤にさせて否定されても嘘はバレバレですぅー。」
と、美織にほっぺをつねられる。
「い、いひゃい…。」
そっと手を離して、真剣な顔で見つめてくる。
「うちら、逢王にとってどんな存在?友達なら、なんでも話して欲しい。好きな人、いるんでしょ?」
奈々と美織に見つめられて、私は堪忍した。
「……はい…。」
「やっぱり♡」
美織と奈々はニヤニヤし始める。
こ、怖…。
「誰?誰なの?いつ知り合ったの?出会いのきっかけは?付き合ってる?何組?学年は?」
早い、早いです奈々さん。
「それは、ダメ!まだ好きになって間もないんだから、もうちょっと経ってからね…。」
「ちぇーっ。」
美織は唇を尖らせる。
「いいよ、じゃあ。逢王が話したいときに話して?いつでも聞くから。」
奈々の言葉に美織もうんとうなづいた。
「ありがとう、二人とも。」
私、いい友達もったな。
もうしばらく経ったら、二人にはちゃんと言おう。
それまでは、まだ私だけの秘密。
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