スセリの花冠
えっ?!何か願い事を叶えてくれるの?

愛世は驚いたが、自分でも同年代の子たちよりも先に死んでしまう我が身が可哀想だと思っていたので、須勢理姫にこう申し出た。

「あ、あの、 須勢理姫……本当にいいんですか? 」

須勢理姫が優しく微笑む。

「遠慮は要りません。申してみなさい」

愛世はちょっと恥ずかしかったが、正直に夢を伝えた。

「わ、私、恋がしてみたいんです!……誰かを好きになってみたい。それで、その愛する人と一緒にいたい。それに、冒険もしてみたいんです」

……厚かましいかな……?

口をついて出てしまった言葉に多少の後悔を覚え、愛世は慌てて須勢理姫を見た。

一方須勢理姫は何とも切なかった。

本当なら当たり前のように恋や遊びを謳歌している歳である。

なのに。

せめてほんのわずかな時間でも、愛世に幸せを味わわせてやりたい。

「わかりました。そなたの願いを叶えてあげましょう。命は延ばせませんが病気の苦痛は取り除いてあげます。健康な身体を授けましょう。その間に恋をし、精一杯生きなさい」

「ありがとうございます、須勢理姫」

愛世はとても嬉しかった。

たとえ僅かな時間でも苦痛から解放され、健康な体で恋をしてみたい。

両手を胸の前で組み、はにかんだように喜ぶ愛世を見て、須勢理姫は腕を伸ばした。
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