コドモ以上、オトナ未満。


別に自分が一人っ子であることを寂しいと思ったことはないけど、親からの色んな期待とか、一人で受け止めんのは、正直、キツい。

たとえば、父親と母親が俺にやらせたいことの方向性が違っていて、俺はどちらかというと父親寄りの考えなんだけど。

でもそれを本人たちに言うとどうせまた喧嘩になるから、家ではあんま親と話さないようにしている。


……まあ、こないだの夏休み中にどうやら離婚することは決まったようだから、あと少しの辛抱なんだけど。

そしたら俺は完全にモデルを辞めて、父親とあの家に残り、本格的に勉強するつもりだ。

将来、就きたいと思っている職業のために。

もちろん、それがなくても今は大事なココがいるから、母親について行って学校変わるなんて、絶対ありえないんだけど――。



「――お。やっぱこういうのが定番じゃね? ちょっと覗こうぜ」



お店のウインドウを見た賢人が俺を誘ったのは、シルバーアクセの店。

ディスプレイを見る限りメインは男もののごついアクセっぽいけど、ウインドウに貼られた小さな紙には“ペアアクセあります!”と書いてあった。


ペアか……悪くないかもな。

俺とお揃いのものなんて、ココはめちゃくちゃ照れるだろうけど。

お互い一緒にいない時でも、相手の存在を感じられるものを身に着けておくって、なんだか心が強くなれるような気がする。


そう思った俺は、賢人の後に続いて、その店に入っていった。


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