コドモ以上、オトナ未満。


俺はその言葉に我に返り、同時にカチンときた。

……何様なんだよ、この人。

俺は別に人に迷惑をかけるようなことはしたくないし、今までだって一度も父に“揉み消して”もらったことなんてない。

でも、父はことあるごとにこうして、自分の権力を見せつけようとするのだ。

父は俺の通ってる高校に多額の寄付をしていて、だからなのか、確かに俺は教師たちからあまり怒られないし、一目置かれているみたいだけど。

……別にそんなん、全然ありがたくねーし。


「俺は……」


――将来、父と同じ職業に就きたいと思っている。

だから、たとえ反発心を持っていても、この人のそばにいることは何かしら意味のあることなんじゃないかって、今までは考えてたけど……


「心矢……私は、お父さんの元にあなたを残していくのが心配よ。ほとんど家にいないし、食事も作れないし……進路とかそんなことより、心矢の体が心配なの」


さも“いい母親”であるかのように、そう言った母さん。

……んなこと言って、自分が一人になりたくないだけだろ?

どっちについていくのも嫌で、でもまだこの年じゃ、一人で生きていけないことも知っている。

……もう子供じゃないのに。でも大人でもないから。

俺は結局、与えられた選択肢の中から、選ぶことしかできないんだ。


それなら、俺は――――



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